un pur..(cooking+cake-ing)

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Manthly Class | june2019

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Mont-Blanc | モンブラン

八百屋さんに栗が並ぶと我が家ではモンブランの季節。私の予定などお構いなしに、我先にと母が栗を買ってきて「モンブランをつくって」とお願いされるのが秋の恒例行事。母は栗を裏ごしして作るこのモンブランが大好きでした。
モンブランというとマロンペーストで作るのが一般的ですが、裏ごした栗でつくるモンブランは栗そのもの。秋の実りを感じながていねいに裏ごしをする時間、「今年も美味しいねー」と言いながら家族で食べる幸せ、このモンブランには家庭でつくることの楽しみが詰まっているように感じます。

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暑い夏が終わりを告げ、少し涼しくなった心地よい秋。栗仕事は、初夏の梅仕事とともに好きな作業に一つです。
年に数回しか使わない馬毛の裏ごし器を出し、ていねいに拭いて作業を始めるのがこの季節の儀式。15年も使っているこの馬毛の裏ごし器、どこも壊れることなく活躍してくれています。電化製品など便利な器具も増えましたが、職人さんの手を感じる道具は、お菓子をつくる心もまっすぐな気持ちにさせてくれるように感じます。
茹たて熱々の栗を鍋から1粒取り出して半分に切り、スプーンで実を取り出しては木べらで裏ごしていきます。栗が冷めてしまうと固くなり裏ごししにくくなるので、美味しいモンブランのためにここは熱くても我慢。すべての栗の裏ごしが終わり、裏ごし器を持ち上げるとふんわりときめ細やかな栗の山。秋の香りが広がります。

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栗の裏ごしを終えたら、すぐに次の作業へ。砂糖とブランデーを加えた生クリームをゆるく泡立て、栗を加えてゴムベラで合わせます。マロンペーストは時間をおくと絞まっていくので、栗をまぜたらすぐに絞り出します。モンブランは専用の口金を使います。ペーストそのものも美味しいですが、この細い絞り口で絞ることで、ペーストに空気が含まれ、見た目も美しく香り豊かな栗のデザートに仕上がります。 裏ごしした栗でつくるモンブランは、家庭でしか食べることのできないとても贅沢なお菓子の一つ。一口含むと、口の中に栗の香りがふわっと広がります。大切な人に食べて欲しくなる、心を込めた秋のデザートです。

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Gâteau aux Marron | ガトーマロン

栗の季節になると必ずつくるのが。栗のブランデー煮。そのまま食べたり、お菓子の中に入れたり、長く栗を楽しみたい方におすすめです。 季節を感じるお菓子をお持ちすると皆さんとても喜ばれます。しっとりとした生地に栗のブランデー煮を入れて焼き上げた小さなお菓子。秋定番の手土産の1つです。

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栗のブランデー煮をそのままお菓子にして味わってもらいたいと考えたのが、このガトーマロン。生地はバターとタンプルタン(アーモンドパウダーと粉砂糖を合わせたもの)をベースに、ベーキングパウダーは使わずにメレンゲを合わせました。メレンゲだけで膨らますお菓子は、しっとりとやさしい味。ほくほくとした栗と馴染み、和菓子のようでもあります。栗を楽しんでほしいのであえて大きいままのせて使います。焼き上がりにブランデーを塗り、大人の秋の焼き菓子に仕立てました。

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洋菓子をつくる時、お菓子に合わせてさまざまなリキュールを使います。 栗のお菓子に愛用しているのが「Chabot」という銘柄のブランデー。フランス南西部、アルマニャック地方で醸造されています。柔らかな甘みを感じるやさしい香りが栗によく合い気に入っています。
アルマニャックと並んでフランスで有名なブランデーにコニャック(写真左)があります。こちらもフランス南西部、コニャック地方の醸造酒。アルマニャックはワインの産地ボルドーの南、コニャックは北に位置しています。ブランデーは果実からつくる醸造酒、アルマニャックもコニャックも原料はブドウ。美味しいワインの産地には美味しいブランデーがあることに納得です。 伝統菓子と同じようにリキュールや材料から土地の文化や風土を知ることもお菓子づくりの楽しみです。

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