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Manthly Class | DECEMBER 2015

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Victoria sandwich | ビクトリアサンドウィッチケーキ

ビクトリアサンドウィッチケーキはイギリスで最もポピュラーなケーキ。日本でいえばいちごのショートケーキのような存在です。ふんわりとしたショートケーキとは違い、しっかりとした食感のバターケーキにジャムをサンドしたシンプルな見た目です。ヴィクトリア女王の名を冠した高貴なネーミングからイメージするお菓子とはだいぶかけ離れているように思いますが、生地にバターをたっぷり使って作るとてもリッチなお菓子。今回はつくりたての旬のいちごジャムと、シンプルなバタークリームをサンドしました。

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パウンドケーキ、レモンドリズルケーキ、コーヒー&ウォルナッツケーキなど、イギリスのお菓子ははバターケーキをベースにしたものがたくさんあります。基本の材料はバター、砂糖、卵、小麦粉、それを順番に混ぜていくだけととても簡単なように感じますが、シンプルだからこそちょっとした作業のていねいさが仕上がりに出ます。もっとも大切のなのは素材の温度。全て室温にしておきます。バターをきちんとクリーム状にしても、冷たい卵を加えては生地は分離してしまいます。冬の寒い時期は室温も低いので、卵を少し温めて加えるとうまく混ざります。そしてもう一つは材料の混ぜ方。はじめにバターをクリーム状にするお菓子はバターの風味がおいしいお菓子、昔は木べらで作っていたように、混ぜすぎると風味が飛んでしまいます。手作業で素材の状態を見ながらていねいにつくると、きめ細かいなめらかな生地のバターケーキに仕上がります。バターケーキはお菓子の中で、作るときの気持ちがいちばんあらわれるお菓子かもしれません。深呼吸してゆったりの気持ちでつくることを心がけています。

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旬の素材をお菓子にする時間は日々の暮らしの楽しみの一つです。通常ビクトリアサンドウィッチケーキは市販のジャムを使うことが多いですが、今回は手づくりの旬のいちごジャムをサンドしました。いちごジャムをさっとつくるには、最初にいちごを潰してしまうとこ。あとは砂糖を混ぜて5分ほど火にかけるだけ。こうすると、いちごに早く火が入り、短時間で仕上がります。つくりたての香りよいジャムでつくるケーキはとても贅沢な気持ちになります。

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Cornish fairing | コーニッシュフェアリング

コーニッシュフェアリングはイギリス南西端コーンウォール地方のジンジャークッキーです。フェアリングとはフェア=お祭りの食べ物の意味。コーンウォール地方のお祭りで人気になったクッキーが広まって「コーニッシュフェアリング」と呼ばれるようになったとか。コーンウォール地方は貿易の拠点となった土地、紅茶やスパイスが多く運びこまれました。スパイスをたっぷり使ってつくるジンジャークッキーはミルクティとの相性も抜群。お菓子を通して歴史や地理を思い巡らせるのも楽しい時間です。

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今回のコーニッシュフェアリングやフラップジャックなど、イギリスのお菓子にはよくゴールデンシロップが使われます。このゴールデンシロップ、実は砂糖を作る際に出る副産物。白砂糖を精製される過程で残されたシロップです。精製過程なので営養も豊富、甘さはさっぱりとしています。焼きたてのスコーンやホットケーキなどに添えたりとイギリスの家庭で古くから親しまれてきました。はちみつや白砂糖が贅沢だった時代、このゴールデンシロップは重宝された甘味料だっのではないでしょうか。日本ではあまり馴染みのない材料を使ってみることも郷土菓子を作る楽しさの一つです。

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