心地よい新緑の季節が過ぎ、日差しが強く感じる初夏。冷たいお菓子が恋しい季節にご紹介したのは、キャラメルバナナタルト。素焼きのタルト生地に、キャラメリゼしたバナナをのせて、生クリームを飾りました。バナナを使うと子供っぽいお菓子になりがちですが、しっかりと焦がしたキャラメルのほろ苦さと、生クリームにはほんのりとラム酒の効かせ、リッチな味わいの大人のデザートに。つめたく冷やしてどうぞ。
冷たいタルトは美味しいけど、暑くなってきたこの季節にタルト生地を伸ばすのはどうも苦手。。。生地がだれてしまってうまくできない、手がかかりそう。。。
気温も湿度も上がる日本の夏は、無理にタルトを伸ばそうとしても上手にできません。そこでご紹介しているのが、手で敷き込む簡単タルトです。通常タルト生地は、生地を作ってから一晩寝かせ、麺棒で伸ばして型に敷き込みます。今回は、その工程を省き、生地を作ったら型に入れて手で平らに広げます。30分冷蔵庫で休ませてあとは焼くだけ。お好みのフィリングをのせて、生クリームを飾れば、夏のタルトの出来上がり。
un pur...では家庭できちんと作ることを大切にしていますが、季節に合わせて簡単にできる工夫も、家庭で作るお菓子には大事なことと考えています。
グレープフルーツプリンを初めていただいたのは、フレンチレストランのデザートだったと思います。ほんのりと感じるほろ苦さとクレームブリュレのような滑らかな食感。柑橘類が大好きな私にとって、甘すぎず爽やかなプリンは衝撃的で、すぐに作ってみたいとレシピを起こしました。それ以来、私の夏の定番デザートです。つめたく冷やしたプリンに、少しの砂糖とコアントローでマリネした果肉をのせて、苦めに焦がしたキャラメルをかけていただきます。一口食べると体の中がすっと涼しなるのを感じます。
グレープフルーツプリンと聞くと、果汁が入ったプリンと思う方も多いようです。実は一切果汁は使わず、牛乳にグレープフルーツのワタの部分だけを漬け込み、爽やかな香りとほろ苦い風味を移して作ります。この牛乳を卵と生クリームと合わせて湯煎焼きにします。
プリンの美味しさは滑らかな食感にあります。プリンを固める要素は卵のみです。低温でゆっくり卵を固めてあげると、滑らかな生地に仕上がります。そのために重要なのは湯煎の湯の温度です。熱すぎると沸騰してスが入り、ごそごそとした生地に。湯がぬるいと、焼き時間がかかり、固まりが悪くなります。40℃、良い湯加減のお風呂が目安です。
グレープフルーツを漬け込む時間と、ゆっくりと低温で焼く時間。そして、焼きあがった後しっかりと冷やす時間。ゆったりとした気持ちでお菓子に臨む時間もまた大切なように感じます。