un pur..(cooking+cake-ing)

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Manthly Class | DECEMBER 2015

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Taatelikakku | デーツのケーキ

お菓子教室を始めて16年になります。教室を続ける中で、ここ数年でお菓子が多様化してきたのを感じています。いろいろな国でその土地の伝統菓子をいただけるカフェやパティスリーを訪れることが楽しみの一つです。それと同時に最近はどのオーガニック系のカフェをどの街でも見かけるようになりました。そこに並ぶお菓子は伝統菓子とは対照的にシンプルで素材本来の甘みや風味を生かしたもの。人々がお菓子に求めるものも多様化しているのかもしれない、と感じながらなんとなく気に留めていたのが「デーツ」です。デーツはナツメヤシの実で、糖度がとても高いのが特徴です。何度か訪れているフィンランドにもデーツのお菓子がありました。砂糖は使わずデーツと蜂蜜だけで甘みをつけたお菓子です。フィンランドではクリスマスのケーキですが、デーツとの出会いから少し早い秋にご紹介しました。

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このデーツのケーキの特徴はまったく砂糖を使わないこと。刻んだデーツを一晩水に漬け、蜂蜜、バターと合わせて煮ます。火を入れると水に漬けて柔らかくなったデーツはトロトロととろけてピューレのように。あとは冷ましてココア、薄力粉、ベーキングパウダーと合わせて焼くだけ。とてもシンプルな行程ですが、仕上がりはブラウニーのようにしっとり、そしてふんわりと軽い食感。デーツの自然の甘みがカラダにすっとなじむお菓子です。

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dates and oatmeal sablé | デーツとオートミールのサブレ

オートミールを使ったお菓子もここ近年よく見かけるようになりました。パウンドケーキにかけて焼いたり、果物にクランブルの代わりにのせて焼いたり、ザクザクとした歯ざわりがお菓子のアクセントとしても楽しくよく使われています。今回はバターの風味のよいサブレにオートミールと刻んだデーツを入れました。オートミールは食物繊維がたっぷりで腹持ちもよいので、大きめに焼いて食べ応えのあるサイズに。コーヒーとともにおやつに1枚どうぞ。

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オートミールはオーツ麦(燕麦)を潰してシリアルのように加工したもの。東欧や北欧では古くからオートミールで作ったお粥のポリッジとしてを家庭で食されてきました。日本では蜂蜜や砂糖を混ぜて焼くグラノーラとして食べる方が多いのではないでしょうか。オートミールは全粒穀物で栄養価がとても高く、食物繊維も豊富なので健康食品のイメージですが、お菓子と合わせるのも楽しい食材です。

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Dried fruits square cake | ドライフルーツのスクエアケーキ

お菓子の始まりは木の実と果物。古来、それらを「菓子」と呼んでいたそう。このお菓子はまさに「菓子」そのもの。焼いたり、煮たりもせず、ドライフルーツとナッツだけで作ります。その秘密はデーツ。ピュレにしたデーツをつなぎとして、ドライ無花果、クランベリー、胡桃を寄せました。ドライフルーツの甘みにナッツの香ばしさが引き立ち、何も加えていない「菓子」本来の味を感じるお菓子です。

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デーツはナツメヤシの果実です。北アフリカから中東で栽培されています。砂漠という苛酷な環境で生き延びてきた強い生命力の木になるデーツは栄養価がとても高く、ドライフルーツとしてだけでなく様々に加工して食され、砂漠で暮らす人々の貴重な栄養源となってきました。日本で昔から知られているナツメ(棗)はナツメヤシとは別の中国原産の植物。中華では漢方薬に、韓国では薬膳料理に使われています。

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